ガーデニングする猫

植物と愛を学ぶ猫の物語

まさこせんせいの庭

 庭で何か動いた。「ねこでもいるのかな。」

 

あまり気に留めなかった。
朝、ほんとうに猫がいた。
しろときじとらの猫がきょとんとした顔で見ていた。

 

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「こんにちは、はじめまして」
「こちらこそ、どうかしましたか」
「すてきなお庭なのでここに住むことに決めました。」
「あらまあ、私、学校がありますので猫の世話はできませんよ。」
「おかまいなく、わたしたち勝手にやりますから。」

 

 庭の手入れはほとんどしていないし、
朝出かけて帰りは夜。

庭はあるけれど気にかけるひまはなく、
だから猫が住み着いているなんて知らなかった。
(まさこせんせいはこの町の小学校の先生です。)

以前、猫よけになるとかで植えたレモングラスが茂り、
いつのまにか、カモミールが咲いていた。

 

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「たねがついてきたのよ」
「ねこさんわたしは・・・」
「いつのまにか花があんなに咲いてうれしいわ。」
「お客様に見てもらうにはどうしたらいいかしら。」
「この辺りからの眺めがちょうどいいと思うのだけど」
ねこは全然話を聞いてなかった。

 

「そうね、お客様に来てもらうにはテーブルと椅子があるといいわね。」
「話もできるし、庭も眺められるし」
「いい考え!ありがとう。」ねこは駆け出していった。

 

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 午後は部屋でテストの採点をしていた。
「ねえねえ、」窓から白いねこがのぞいていた。
「ちょっと来て、まさこ先生」
呼ばれて庭に出ると椅子とテーブルがありました。
「どこから持ってきたの?」
「ちょうどいいのがあったわ」
白ねこはぜんぜん、話を聞いてない。

 

「召し上がれ」
テーブルと椅子、白いねこがお茶を入れてくれた。
「ななです。」白ねこが言った。
「みんとだよ」きじとらが言った。
ティーカップから香りが立っていた。
「いい香り、ハーブティね。」
「お庭で育てたハーブを使って、ななが作りました。」
「甘くておいしいね。」

ステビアの葉っぱを入れたの」となな。
「甘みは香りを引き立てるんだよ」とみんと。


カモミールレモングラスレモンバームステビア
ほどよくブレンドしてティーパックに詰めて熱湯5分
「急ぐとだめ。香りと出会うまでじっと待つの。」となな。
「ポットは丸くなきゃだめなんだよ。」とミント。

 

「きみたちレモングラスは嫌じゃないの?」
「ぜんぜん、だいすき。」
「あらそう。あれは猫よけに植えたのになあ。」
レモングラスをかむとレモンの香りがするよ。」

「猫よけって何?」
テーブルは庭の花がアレンジされている。


「なかなかやるね」
ななとみんとはにこっとした。

 

「ねえ、猫よけって何?」
まさこせんせいはは聞いてないふりをした。